自分の指した将棋などで考えたこと参考になったことなんかをメモしていきます。
night walkerのメモ帳
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角換わり腰掛け銀を簡単に
2006-11-05-Sun  CATEGORY: 雑記
はぁ、先を越された…。
やはりさっさとアップする一手だった。
なんてアホなんだろう。

以下は長いので、ヒマな人だけ見るように。
角換わり腰掛け銀の歴史を軽く振り返りましょう。
この戦形の歴史は天野宗歩が指しているところからして、相当に古い。
坂田三吉が名人取り損ねた将棋も角換わり腰掛け銀だったし。
で、ダラダラやるのも大変だし、私が持っている文献が少ないので、アッサリと行きましょう(ぉぃ
棋士の敬称略です。悪しからず。


↑で触れたように、角換わり腰掛け銀の歴史は案外古い。
また、戦前にもある程度指されていたらしい。

戦後になり、持ち時間が少なくなったことが影響しているのか、展開が急な角換わり腰掛け銀が流行する。
相掛かり腰掛け銀が指されるようになったことも、角換わり腰掛け銀の流行の一因かもしれない。

腰掛け銀で代表的なものは、第1図。
1.png

第1図から
▲4五歩 △同 歩 ▲3五歩 △4四銀 ▲7五歩 △同 歩
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △6三角
▲1五歩 △同 歩 ▲1三歩 △同 香 ▲2五桂 △1四香
▲3四歩 △2四歩 ▲3三桂成 △同 桂 ▲2四飛 △2三金
▲1一角 △3二玉 ▲3三歩成 △同 銀 ▲4四桂 △同 銀
▲2三飛成 △同 玉 ▲4四角成 (第2図)
と進むのがいわゆる「木村定跡」で先手必勝定跡として名高い。
2.png


ところが、第1図には問題点がある。
第1図になる直前の局面が第3図。
3.png


ここから▲8八玉△2二玉で第1図となる。
▲8八玉に△2二玉で不利になるなら、先手の攻め方を真似て後手から△6五歩から先攻したらどうか?という点が問題になる。

実際は難しいところもあるが、第3図から▲8八玉△2二玉▲4五歩は先手優勢、▲8八玉△6五歩は先手不利が定説になっている。
そこで、第3図から▲4五歩と仕掛けるのはどうかということになった。
第3図から見事な攻め手順を見せたのが、升田幸三。

第3図から
▲4五歩 △同 歩 ▲7五歩 △同 歩 ▲3五歩 △6三角
▲2四歩 △同 歩 ▲3四歩 △同 銀 ▲2四飛 △2三金
▲2九飛 △2四歩 ▲6五歩 △4六歩 ▲6四歩 △7四角
▲6三歩成 △同 角 ▲6四角 △6二金 ▲4四歩 △3六歩
▲4五桂 △同銀右 ▲3五歩  (第4図)
で、先手が有利となった。
4.png

木村定跡の手順と比べて▲7五歩のタイミングが早いのが特徴。
▲7四歩の筋を常に見せることで、後手に受けに回させるのが狙いということだろう。
▲6四歩を角に打ちかえる手順が絶品。

ということで、第3図も先手有利が当時の棋士の認識となり、これを避けるようになった。
いくつかの作戦が現れたが、もっとも有力とされたのが第5図のように桂馬を跳ねずに千日手を狙う指し方。

5.png

後手の指し方は消極的ながら、この指し方を打破する手順が現れなかった。
また、大山・升田の両巨頭が振り飛車を指し始めた影響も大きく、角換わり腰掛け銀は冬の時代を迎える。


昭和50年代に飛先保留型(2六歩型)腰掛け銀がポツポツと指されるが流行には至らなかった。
流行のきっかけを作ったのは谷川浩司。
第11期棋王戦の挑戦者決定戦という大一番で飛先保留型腰掛け銀を採用(第6図)。
6.png

第6図から
▲2八角 △7五歩 ▲同 歩 △8六歩 ▲同 銀 △3五歩
▲同 歩 △2四銀 ▲4五歩 △3五銀 ▲3三歩 △同金直
▲2五桂  (第7図)
7.png

▲2五桂と跳ねられるのが、2六歩型の長所。難解ながら打開に成功。
飛先保留型腰掛け銀はこの将棋から市民権を得たといえよう。
飛先の歩が下げたことで、千日手打開を図れたのは、大きな進歩だった。
後手は第3図や第6図を避けるための工夫を求められた。

例えば、4筋不突き、7筋不突き、棒銀、2六歩型を直接とがめるために△3五歩▲同歩△2四銀の桂頭攻め、△6三金型など。

ところが、平成2年末に大きな転換期を迎える。
▲森内俊之?△中田宏樹戦で、中田が同形腰掛け銀にチャレンジ(第8図)。
8.png

第8図から
▲4五歩 △同 歩  ▲7五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 歩
▲3五歩 △同 歩  ▲4五桂 △同 銀 ▲同 銀 △3七角
▲2九飛 △4六角成 ▲5六銀打 △4四歩 ▲7四歩 △6五桂
▲同 歩 △4五歩  ▲7三歩成 △8四飛 ▲6一角 △4二金右
▲4七金  △3八銀  ▲4六金  △2九銀成 (第9図)
9.png

この後、後手が快勝。
この将棋から、同形腰掛け銀(第3図)が見直されることになった。
第3図から升田定跡の仕掛けはしばらく指されたが、勝率が極端に低く廃れることとなった。
▲7五歩の玉頭の突き捨てが、後手の反撃を厳しいものにしているのだ。

そこで、第1図から▲4五歩△同歩▲3五歩とする、木村定跡の転用した攻めはどうかということになった。
▲3五歩に△4四銀とするなら、その後に▲7五歩と突き捨てれば、リスクが少ないということになるわけだ。
しかし、この攻め方だと、▲3五歩の瞬間に△6五歩(第10図)と攻め合われたらどうなるのかという問題点があった。

10.png

もともと、升田定跡の攻め方は△6五歩の攻め合いを拒否している(△6五歩に▲3四歩△同銀▲7四歩がある)側面もあるので、当然の疑問だった。
しばらく指されたが、谷川浩司が解答を示す。
第32期王位戦7番勝負第5局▲谷川?△中田宏戦。
第10図から
▲6五同歩 △7五歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲6六角 △4四角
▲4五桂 △6六角 ▲同 銀 △4四銀 ▲2二歩 △同 玉
▲3四歩 △4六角 ▲2九飛 △8六歩 ▲同 歩 △4五銀右
▲2六角 △5六銀 ▲4四角 △3三歩 ▲4七歩 △3八銀
▲4六歩 △2九銀成 ▲5六歩 △3九飛 ▲6八玉  (第11図)
11.png

いくつか難しいところがあるが、この順が発表されてから、攻め合い策は廃れた。

▲4五歩△同歩▲3五歩でも大丈夫ということになったわけだ。
そこで、後手は▲3五歩には△4四銀と受けに回ることになった。
△4四銀にまず、▲7五歩△同歩▲2四歩とする順が指された。
以下、△2四同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△6三金と進む(第12図)。
12.png


第12図から▲1五歩△同歩▲1三歩とする手順は山田道美の著書でも紹介されているが、その順は△3五歩▲2五桂△2四歩▲1二歩成△同香
▲3四角△2二玉▲6一角成△2三金(第13図)で不利になる。
13.png


谷川は△6三金に▲6一角と打つ攻めを考案したが、それも以下△4三角▲同角成△同銀▲7四歩△同金(第14図)のあと、
14.png

A▲4五桂 △6五歩 ▲3四歩 △8六歩 ▲同 歩 △3七角
 ▲2九飛 △6四角成 ▲3三角 △7六歩(第15図)や
15.png

B▲6三角 △5二角 ▲同角成 △同 銀  ▲4五銀 △同 銀
 ▲同 桂 △3七角 ▲2九飛 △5五角成 ▲2四歩 △同 歩
 ▲7一角 △7二飛 ▲5三角成 △同 銀  ▲同桂成 △3八銀(第16図)
16.png



という手順で難解あるいは不利になり、廃れることになった。

次に△4四銀に▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛と一歩交換する順が指されるようになった(第17図)。
17.png


次に▲7五歩の攻めを見せようとするもの。
この順もいくつかの指し方があるが、△6五歩▲同歩△7五歩▲6六銀△9五歩▲同歩△9七歩▲同香△8六歩▲同歩△同飛(第18図)の局面に先手が自信を持てず、廃れることとなった。
18.png





そんな中、第3図から
▲4五歩 △同 歩 ▲3五歩 △4四銀  ▲1五歩 △同 歩
▲2四歩 △同 歩 ▲7五歩 △同 歩  ▲2四飛 △2三歩
▲2九飛 △6三金 ▲1二歩 △同 香  ▲1一角
とする攻め方を丸山忠久が平成4年末に発表する(第19図)。
19.png



以後、この順が同形腰掛け銀の主流となる。
ちなみに第17図の仕掛けも丸山が初めて指した手順だ。
▲1一角に△3五銀▲4五銀△3八角は先手有利が定説となり、▲1一角に△2二角の受けが主流となる。
△2二角以下、▲同角成△同玉▲3四歩△3八角
▲2八飛△4九角成▲2五桂となる(第20図)。
20.png




▲2五桂から
A△3九馬 ▲2六飛  △3五銀  ▲1三歩  △同 香  ▲1五香
 △2六銀  ▲1三香成 △3一玉  ▲3三香(第21図)の順や
21.png



B△3九馬 ▲2六飛  △4九馬  ▲4七銀  △8六歩  ▲同 歩
 △4六歩  ▲2九飛  △4七歩成 ▲4九飛  △5八と  ▲4四飛
 △8七歩  ▲同 金  △4三金打 ▲5一角  △4二歩  ▲3三銀(第22図)
22.png



の順が指されて、ほとんど現れなくなった(平成6年の話)。

第20図には、まだいくつかの課題が残っていたが、
C△3九馬 ▲2六飛  △2四歩  ▲3三角  △同 桂  ▲同歩成
 △同 金  ▲同桂成  △同 銀  ▲3四歩  △4四銀  ▲5五桂
 △8六歩  ▲6三桂成 △8七歩成 ▲同 金  △同飛成  ▲2四飛
 △2三角  ▲6七銀(第23図)とする手順が決定版となった(平成9年の話)。
23.png



Cの手順を補足すると、△2四歩の前に△8六歩と突き捨てておくのも考えられるが(▲5五桂に△4九馬で攻め合う)、その場合は、△2四歩に▲1三歩△同香▲3三歩成と攻めるのが良い。
二歩持っていれば、▲1三歩は叩きやすい。

これらの手順によって、同形は先手が指せるという風潮が強くなり、後手が避けるようになった。

同形は廃れ、代わりに△6五歩型が指されるようになった(第24図が一例)。
24.png




△6五歩型は羽生?谷川の第55期名人戦、谷川?佐藤康の第56期、第57期名人戦、佐藤康?丸山の第58期名人戦、丸山?森内の第60期名人戦などのタイトル戦でも指されている。
▲4七金とした後に▲1七香?▲1八飛と雀刺しにする丸山流(第25図)、
25.png


▲4八金?▲2九飛型の谷川流(第26図)が開発され、
26.png


現在も△6五歩型は時おり指されているが、先手の勝率がかなり高い。


こうして、同形は先手有利、同形を避けても勝率が悪いと、悪い事尽くめの後手角換わりに光を当てたのが、佐藤康光。
谷川、丸山との名人戦、また羽生とのタイトル戦を経験し、研究を温めていた。
それが、▲1一角に△3五銀▲4五銀△2二角の新手(第27図)。
27.png



平成14年3月の第27期棋王戦5番勝負第4局で発表された。佐藤はこのときカド番だった。勝負度胸が凄い。
第27図以下、
▲3三歩  △同 金  ▲2二角成 △同 玉  ▲5四銀  △同 歩
▲4五桂  △3二金  ▲4一角  △7四角  ▲2八飛  △4二飛
▲1一銀(第28図)と進んだ。

28.png



この勝負は先手が勝ったものの、新たな研究が進められることになった。
谷川?羽生の第43期王位戦では第27図以下の手順中の△3二金で△2四金と出る新手が出て、これは後手有利と見られている。
羽生?森内の第61期名人戦でも指され、第27図自体後手がかなりやれそうということになった。
この羽生?森内戦から第27図はほとんど指されなくなった。


第27図に自信が持てない先手はいくつかの指し方の再検討に入ることになった。
つまり、第3図から
▲4五歩 △同 歩 ▲3五歩 △4四銀  ▲1五歩 △同 歩
▲2四歩 △同 歩 ▲7五歩 △同 歩  ▲2四飛 △2三歩
▲2九飛 △6三金 ▲1二歩 △同 香  ▲3四歩(第29図)
29.png

とする仕掛けと、
▲4五歩  △同 歩  ▲3五歩  △4四銀  ▲2四歩  △同 歩
▲同 飛  △2三歩  ▲2八飛
とする仕掛けである(第17図)。
17.png



前者は平成14年11月に郷田が羽生を相手にチャレンジした。
この仕掛けは、前述した先に▲1一角と打つ定跡で先手が良くなる変化が多かったため、あまりに表に出なかったが優秀な定跡。
第29図から
△3八角  ▲3九飛  △2七角成 ▲1一角  △2八馬  ▲4九飛
△3八馬  ▲6九飛  △4三金  ▲2二歩  △3四金  ▲2一歩成
△同 玉  ▲2六桂  △1一玉  ▲3四桂  △3七馬  ▲3九飛
△3八歩  ▲2九飛  △2七桂  ▲4七金  △2六馬  ▲3六金打
△3九歩成 ▲2八飛(第30図)
30.png



第30図までは「角換わり腰掛け銀研究」で定跡化されていた手順。第30図から
△5九馬  ▲2七飛  △5八角  ▲6八金  △7六歩が新手順(第31図)。
31.png



以下、後手の勝利となった。
これにより新たな問題が生じることになった。
第29図の仕掛けも、羽生?森内の第63期名人戦で指されて以降はほとんど指されていないようだ。
羽生、森内の二人は定跡を高水準の作り上げているわけだ。

後者の仕掛けは平成5年からしばらく指されていなかったが、平成15年1月の佐藤?羽生の第52期王将戦第3局で久しぶりに指された。
第17図以下、△6五歩▲同歩△7五歩に▲6四角が佐藤の工夫の一手(第32図)。
32.png



これは有力で、現在でも指されている形である。

それよりも現在多く指されているのが
▲4五歩  △同 歩  ▲3五歩  △4四銀  ▲1五歩  △同 歩
▲2四歩  △同 歩  ▲7五歩  △同 歩  ▲2四飛  △2三歩
▲2六飛の仕掛け(第33図)。
33.png



比較的最近に現れた構想で、この仕掛けは先手の勝率がいいようだ。
現在は、この仕掛けにどう対抗するかが後手の課題になっているようである。


同形腰掛け銀は羽生?森内の名人戦において、3年連続で指されたように、重要な課題であることは間違いない。
私は角換わりの後手はいかに効率よくこの形を避けるかに興味があるので、この形は先手でしか指すことがないと思うが、この形の結論の行く末を見届けたい。
プロ棋士の皆さん頑張ってください。


【参考文献】

山田道美将棋著作集第3巻 中原誠 編
角換わり腰掛け銀研究   島 朗 著
将棋年鑑 平成8?18年版

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コメント

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コメントとりい | URL | 2006-11-06-Mon 07:44 [EDIT]
大変勉強になりました。どうもありがとうございます(少し変かな?)
第6図の飛(28→48)もこっそりなおしてください。
コメントnight walker | URL | 2006-11-06-Mon 12:52 [EDIT]
図面は直しました。ご指摘ありがとうございます。

いろいろとツッコミ待ってます。
直せる場所は直したほうがいいですから。

3週間くらい前にすでにある程度出来ていたのですが、途中から面倒くさくなって放置してました。
当然(?)、推敲してません(ぉぃ

そもそも「角換わり腰掛け銀研究」を読めば、基本的なことは全部書いてあるので。
なんで、こんなことしてるのか自分でも分かりかねます。
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